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2009年3月31日 (火)

解せぬ春、長い文章。

  「カム」同人の宮内です。正直に言います。あんまり春は……。嬉々として浮かれる気分にはならない。春を賞賛する人は多い。桜がほころび、国道沿いにユキヤナギが咲き乱れ、花屋で鮮やかなチューリップを見かけ、街路樹にメジロを見つけ、つまり、たくさんの生命が出てくる。それを発見する喜び、温かい陽気を感じる気持ちよさ。確かに。わたしも新しい季節に白いブラウスを買い、軽めのコートを探します。花見に行くし、外に出かけたがります。だけど無性に喪失感に襲われる。こんなに周りに生き物がいるのに、なぜか失うことだけを考えてしまう。そうすると夢に亡くなった祖父が出てくる。最近、そうだった。夢の中で元気な彼はなにか言っている。夢占いという本があるが、読まなくてもわかる。わたしは別に祖父に叱咤されているのではない。実は無用に自分を追い詰めているのだ。春という季節を感じると、虫だって土から生まれ出て来るのに一体自分は何をやってるんだ、と思ってしまう。    

 ずっと待ち続けている人がいるのに、ずっとやりたかったことがあるのに、またこの温かさを感じながら見過ごすのかと、どうしようもない無力感に襲われて、でも休日に京都に行こうと計画する。ベランダに何かを植えようと考える。説明のつかない喪失感を埋めるように先に計画を進めてしまうのだ。たくさんの人や、機会を逸してきたこの桜の季節を空しく感じるのは祖父が倒れたあのなま暖かかった春の日を思い出すからだろうか。救急車のサイレンが近所じゅうに鳴り響いていたのに道に咲く木蓮の花の白さが圧倒的に現実を突き放して白かったからだろうか。いや、わたしはもうずっとむかしからあんまり春は好きでなかった。出会い、別れ、発見、出発、春から連想されるすべてのキーワードがあんまり好きではなかった。浮き足立つこの気温が解せぬまま大人になった。

 小説を書くのもしんどくなって、メールも億劫になるけど、一応返して、時々だれかに電話してしまう。そういうひねくれた、春を素直に愛せない感情をわたしはやはり大事にしたいです。

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