音楽

2009年5月 5日 (火)

音楽の話

こんにちは。同人の後藤です。

先日読んだ津村記久子の「ミュージックブ・レス・ユー!!」の中で、
登場人物の男子高校生トノムラ君が、今勉強中の(かつての)音楽の一環で、
レモンヘッズのアルバムを聴いる場面があり、
なんだかとても、うれしくなりました。

それは、僕がちょうどトノムラ君と同じ歳の頃、
リアルタイムなロックとして、聴いてたアルバムです。
この次のアルバムが出た後の来日だったでしょうか。
僕がレモンヘッズのライブを観たのは。
会場はスタンディングでした。
一緒に来てた友達(素人ベーシストの女の子)と、テーブルにビールをのっけてライブを見てると、「ねえ、ちょっと」と、曲の合間に友達が僕の肘をつつきました。
「今、隣にいた人ら、少年ナイフだったよ」
「マージで?」と僕は軽く笑い、
「ナイフか~」と、少し回りを探しました。

ロックの比較的大きなムーブメントや流行的なものには
属していなかったからかもしれませんが、
これまで、ほとんど再評価されたことのないバンドで、
これからも、されることはないような気がします。
けれど、僕にとってはもちろん大切なバンドで、アルバムで、思い出です。

「ミュージックブ・レス・ユー!!」で描かれているような、
ロックを必死でむさぼろうとしている高校生が、
2009年の現在も存在するのかは僕にはまったくわかりませんが
(若い人はヒップホップの印象が強いです、あくまでイメージで)
広大な音楽(この場合はロック)の歴史?!の前に、
自分の聴いているものの圧倒的な少なさ、
もっと聴かないといけないもの、もっと聴きたいもの、がありすぎて、
時間やお金のなさを闇雲に焦る、
そんな登場人物の気持ちは、とても懐かしいものでした。

それに、若い頃って
(昔は特に情報が少なかったからかもしれませんが)
いろんな歴史的なことについて、その価値が全部、とってもフラットなんですよね。
重箱の隅をつつくようなマニアに好まれているアルバムも、
大ヒットした歴史的名作のアルバムも、
自分の知らなかったけど、おそらく聴くべきだろう過去のアルバム、という意味で。
だから、後から振り返れば、結局変なバランスで偏ったものばっかり聴いてたりして。

今は、僕の高校時代とは比べ物にならないくらい、
簡単に情報は手にはいり、いろんなテクノロジーや業界の努力で、
音楽はもっと身近なものになっただろうけど、
まだ自分の知らないものを求めようとする気持ちや焦りなんかは、
きっと変わらないのでしょう。

そして、トノムラくんや主人公がリアルタイムで聴いているバンドも、
10年、20年後、同じように好奇心がいっぱいで、熱心で、
それでも無知な若者に、聴くべき歴史、として「発見」されて、
聴かれていく。
それはとても、素敵で幸せなサークルであるように思います。

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